本記事では、「ロジカルシンキング」について、初心者でも理解しやすいように解説します。
まずロジカルシンキングの基本定義から、論理的思考を支える要素に加え、代表的なメリット・デメリット、さらに3つの代表的な手法やフレームワークについて触れていきます。
また、日常生活やビジネスシーンでロジカルシンキングを鍛える方法や注意点についても取り上げます。
目次
ロジカルシンキングとは?
まず、「ロジカルシンキング」とは何かについて触れておきましょう。ロジカルシンキングは、論理的に物事を考える力のことを指します。複雑な問題を解決する際に、筋道を立てて整理し、矛盾のない結論を導き出すことを目指す思考法です。
この考え方は、ビジネスの現場だけでなく、日常生活においても役立ちます。たとえば、意思決定や課題解決のプロセスで、感情や直感だけに頼るのではなく、理論的な根拠に基づいて判断を下すことで、より正確かつ効果的な行動が取れるようになります。
Logical(論理的)とThinking(思考)を合わせて、Logical Thinking(論理的思考)です!
ロジカルシンキングをさらに分解すると?
ロジカルシンキングは、一言で「論理的思考」と言っても、いくつかの要素に分けることができます。以下のポイントを理解しておくと、より実践的に活用できるでしょう。
意見や主張に論理的な矛盾がない
まず大事なのは、論理的な一貫性です。
自分の意見や主張に対しては、必ず矛盾がないかを確認しましょう!
論理的矛盾がある意見や主張はほとんどの場合聞き入れられず、「この人論理的なじゃないな」と思われてしまいます。
筋道の通った考え方をすることがロジカルシンキングの基本です。
偏見がなく、客観的な事実から推測する
次に、偏見を排除し、客観的な事実に基づくことが大切です。
人は無意識に主観的な思い込みを持ち、自分の意見にもその影響が強く出ます。
しかし、そのような主観的な思い込みは、大抵根拠のない偏見になるので、ロジカルとは程遠いものになります。
したがって、偏見に左右されず、客観的で正確な情報を基に意見を構築することによって、信頼性のある結論を導き出せます。
自分がコントロールできる範囲を認識している
問題を解決する際に、自分が影響を及ぼせる範囲を認識することも重要です。
例えば、今あなたは電車に乗り遅れて会社に遅刻しそうだとします。
この時に、「電車が普段より速く動けば間に合うな。」なんてことを考えても無駄ですよね?
電車の速度はコントロールできないので、そのことについて考えるのはすぐにやめましょう。
代わりに、「電車の代替手段を考える」や「会社に遅れる旨を伝える」など自分がコントロールできることで解決策を探しましょう!
コントロールできない要素に過度にこだわらないことで、効率よく思考を進められます。
事象を効率的に分解することができる
複雑な問題や状況を、シンプルなパーツに分解して考える力も、ロジカルシンキングには欠かせません。
我々が直面する問題は、多くの事象が絡み合っていることがほとんどです。しかし、人間は2つのことを同時に考えようとすると、途端に思考のレベルが落ちます。
そのため、問題に直面した際は要素ごとに分けて、シンプルになった問題を分析することで、解決の糸口を見出すことができます。
因果関係と相関関係の違いを理解できている
因果関係(ある事象が他の事象を引き起こす関係)と、相関関係(2つの事象が一緒に起こるが、直接の因果関係がない)を明確に区別することが求められます。
因果関係の具体例
飲み水と健康
- A(原因): 汚れた飲み水を飲む
- B(結果): 下痢や病気になる
この場合、汚れた飲み水を飲むことが下痢や病気を引き起こす原因となっています。つまり、「AがBを引き起こす」という因果関係があります。飲み水が原因で体調を崩すという明確な理由が存在するため、これは因果関係です。
相関関係の具体例
携帯電話の普及と寿命の延び
- A:携帯電話の普及率が上がる
- B:平均寿命が延びる
ここ数十年で、携帯電話の普及が世界中で進みました。同時に、多くの国で平均寿命も延びています。しかし、携帯電話が直接寿命を延ばしているわけではありません。これは偶然、同じ時期に発生しているだけの相関関係です。背後にある原因は、医療の進歩や生活水準の向上などであり、携帯電話の普及とは直接関係がない可能性が高いです。
- 因果関係: AがBを直接引き起こす(例: 汚れた水を飲む→病気になる)。
- 相関関係: AとBが同時に起こるが、AがBを引き起こしているとは限らない(例: アイスクリームの消費増加→犯罪率上昇は偶然の一致)。
このように、何かが一緒に起こるといっても、それが因果関係なのか、ただの相関関係なのかを見極めることが重要です。相関関係を因果関係と誤解してしまうと、誤った結論を導き出す可能性があるので、注意が必要です。
これができることで、誤った結論に陥るリスクが減ります。
言葉や数字を正確に扱うことができる
最後に、言葉や数字を正確に使いこなすことが必要です。
難しい表現やソースが不明な数値を基に、ロジカル風な議論をしている動画や記事が、最近よく見られます。ただし、曖昧な表現や不正確なデータに基づいて進められた議論は、何の意味も持ちません。
言葉や数字を用いて議論する際には、その定義を明確にし、論理に穴がないように心がけましょう!
ロジカルシンキングの主なメリットとデメリット
ロジカルシンキングには、メリットもあればデメリットもあります。
ここでは、そのメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
- 問題解決能力が上がる
論理的に考えることで、課題の本質を理解し、解決策を見つけやすくなります。 - タスクに費やす時間を節約できる
無駄な時間を省き、効率的にタスクをこなすことが可能です。 - ストレスを抱えづらくなる
混乱した状況でも冷静に分析できるため、精神的な負担が軽減されます。
デメリット
- 感情を軽視しがちになる
ロジカルシンキングが癖づいていると、感情や直感を軽視しがちです。
特に、感情や直感で行動している人へのコミュニケーションが難航することがあります。
人間関係や人の感覚に関する問題では、感情へ寄り添うことを忘れないようにしましょう! - 感情でしか説明できない事象に論理をつけたがる
感情的な問題に対して、無理に論理を当てはめようとすると、かえって複雑化してしまうことがあります。
あえて論理を当てはめず、「だってこうしたいから!」と割り切ることも大切です。
ロジカルシンキングの3種類の代表的な手法
ロジカルシンキングには、いくつかの基本的な手法があります。
ここでは、3つの代表的な方法を紹介します。
帰納法
帰納法とは、具体的な事例から一般的な結論を導き出す方法です。
例えば、「早起きした日は仕事がはかどる」という経験があれば、それを基に「早起きは生産性を向上させる」と結論付けるような考え方です。
帰納法とは…
具体的な経験から、一般的な結論を導き出すこと!
演繹法
演繹法は、一般的な法則やルールから具体的な結論を導く手法です。
例えば、「すべての人間は死ぬ」という一般的な前提があれば、「私は人間なので、いずれ死ぬ」という結論を導き出すことができます。
演繹法とは…
一般的な結論から、具体的な事象を導き出すこと!
弁証法
弁証法は、異なる立場や意見を統合し、新たな理解を生み出す思考法です。
対立する意見を組み合わせることで、より高次の結論に到達することを目指します。
例えば、「この物体は私から見たら長方形に見える」「この物体は私から見たら円に見える」という一見対立している2つの意見があったとき、「この物体は円柱なのでは?」と結論づけることによって、どちらの意見も包括しているより高次の結論を導いています。
弁証法とは…
対立する意見から、1つの高次な意見を導き出すこと!
ロジカルシンキングで代表的なフレームワーク
ロジカルシンキングを効果的に活用するためには、特定のフレームワークを使うと便利です。
以下の3つは、代表的なフレームワークです。
MECE
MECEは、例えば次のように整理することが可能です。
- 相互に排他的(Mutually Exclusive)
カテゴリー同士が重複していないこと。つまり、ある要素が一つのカテゴリにしか含まれない状態を指します。 - 全体的に網羅的(Collectively Exhaustive)
すべての要素がどこかのカテゴリに収まること。漏れなく全体をカバーすることを意味します。
MECEを使うメリットは以下の通り!
- 論理的な飛躍や抜け漏れを防げる
- 問題や情報を整理しやすくなる
- 課題解決の際に全体像が掴みやすく、スムーズに行動に移せる
5W1H
5W1Hは、物事を深く理解するために使うフレームワークです。何かを分析・説明するときに「誰(Who)、何(What)、いつ(When)、どこで(Where)、なぜ(Why)、どのように(How)」という6つの視点から情報を整理する手法です。
5W1Hの各要素
- Who(誰が): この事象に関わっている人物や組織は誰か?
- What(何を): 具体的に何が起こったのか?何が問題か?
- When(いつ): いつ発生したのか?タイミングはいつか?
- Where(どこで): 事象が発生した場所はどこか?
- Why(なぜ): なぜこの事象が発生したのか?原因や背景は?
- How(どうやって): どのようにしてその事象が発生したのか?プロセスや方法は?
5W1Hを使うメリットは以下の通り!
- 分析が多角的にでき、見落としが少なくなる
- 問題や状況を具体的に把握できる
- 課題解決のための計画や戦略立案に役立つ
ロジカルストラクチャー
ロジカルストラクチャーは、ピラミッド構造や階層的な構造を使って、問題を整理し、根拠と結論の関係を明確にするフレームワークです。基本的には「結論→根拠」という順序で考えることを目的とします。
ロジカルストラクチャーの基本構成
ロジカルストラクチャーは、ピラミッド構造とも呼ばれ、以下のような階層で情報を整理します
- トップに結論を置く: ピラミッドの頂点には、議論の結論や要点が置かれます。
- 次に根拠を置く: 結論を支える複数の根拠をピラミッドの中段に配置します。
- 根拠をさらに細分化する: 各根拠を支える詳細なデータや事実を下段に配置します。
ロジカルストラクチャーを使うメリットは以下の通り!
- 複雑な問題でも論理的に説明できる
- 説得力のあるプレゼンや報告書が作れる
- 思考の整理がしやすくなる
ロジカルシンキングを鍛える方法
ロジカルシンキングは、日々のトレーニングによって向上させることができます。いくつかの具体的な方法を紹介します。
- 読書
物事を論理的に整理して書かれた本を読むことは、思考力を鍛えるのに非常に役立ちます。 - ディスカッション
論理的な対話を通じて、自分の考えを整理し、他人の視点を理解することができます。 - 問題を紙に書き出す
複雑な問題を頭の中だけで考えるのではなく、紙に書き出して視覚化することで、より客観的に整理できます。
ロジカルシンキングの活用で注意すべきこと
ロジカルシンキングは非常に強力なツールですが、論理だけでは説明できないことがあるという点に注意が必要です。
特に感情的な問題や直感的な判断が必要な場面では、論理に頼りすぎると物事が複雑になってしまうこともあります。バランスを保つことが大切です。
まとめ
ロジカルシンキングは、日常生活やビジネスにおいて非常に有用なスキルです。論理的な思考を通じて、問題解決力を高め、効率的な行動を取ることができるようになります。しかし、感情的な側面や直感を無視しすぎないように注意し、状況に応じたバランスの取れた思考を心がけることが重要です。
ぜひ、今回紹介した手法やフレームワークを使って、ロジカルシンキングを鍛え、日常の問題解決に役立ててみてください!
この記事の作成者
株式会社TricoLogicでミライ式のAD(講師)をしながらシステム構築を担当。東京大学卒業後、同大学院に進学。科学的根拠や信頼できるデータをもとにした記事を作成し、信頼性の高い情報で、読者にとって有益で信頼できるコンテンツを提供します。
この記事の監修者
両親を含めて親戚全員が中卒・高卒のなか奈良県の田舎から東京大学に進学。同経済学部卒。柳川ゼミ、松尾研所属。学生時から起業し、難関大専門塾現論会を創業。初年度からGMARCH以上合格率100%を達成し、東大京大医学部を毎年輩出。全国に32校舎に拡大(2024年時点)KADOKAWAより『絶対に成績が上がるハイブリッド勉強法』を出版。2021年より、社会人向け対象にプログラミングスクールのCodeCoaching、英語コーチングスクールLibartsを創業。半年でエンジニア転職を数多く成功させる。3ヶ月でTOEIC940点取得や、英検1級の合格率75%を達成。
ポイント1:ロジカルシンキングの意味がわかる!
ポイント2:ロジカルシンキングの運用方法がわかる!
ポイント3:ロジカルシンキングの注意点がわかる!